「敬う」という表現は、会話の中ではあまり使う機会がないためか、意味や読み方がわからないという人もいるようです。そこでこの記事では、「敬う」の意味と読み方、そして使い方や例文を解説。あわせて「敬う」の類語や熟語と対義語、英語表現も紹介します。目次「敬う(うやまう)」の語は、相手や目に見えない存在などを、尊いものとして敬意を払ったり、礼を尽くすという意味を持ちます。「恩師を敬う」「先祖を敬う」などと上位のものに対して使われることが多い表現です。「敬」の語には、身を引き締めてうやうやしくするという意味もあり、敬意を払う態度を表現しています。「尊敬」「敬語」「敬服」などの熟語にも「敬」は用いられています。「敬う」は「うやまう」と読みます。「尊敬」の「敬」の語としての印象が強いため、単独の語としては読み方に馴染みがないかもしれません。「敬う」の語は、年長者や目上の人、あるいは自然など目に見えない大切なものに対して、敬意を払う気持ちを表す場面で使われます。「尊ぶ」は「たっとぶ」あるいは「とうとぶ」と読みます。「尊ぶ」には二つの意味があり、一つは相手に敬意を払うという意味で、「敬う」と同じ意味を持ちます。「年長者を尊ぶ」「師を尊ぶ」などの使い方です。もう一つは、大事なものとして重んずるという意味があります。「歴史遺産を尊ぶ」「独立精神を尊ぶ」などの使い方です。「尊ぶ」と「敬う」の違いとしては、「尊ぶ」は大事にするという意味が強く、「敬う」は「礼を尽くす」というニュアンスが強いといえます。尊敬する、敬うという意味の表現に「仰ぎ見る(あおぎみる)」があります。「師と仰ぎ見る」は「師として敬う(尊敬する)」という意味です。「仰ぎ見る」の本来の意味である「上方を見上げる」という意味を比喩的に用いて、上位のものを敬うという意味を表わしています。「敬う」気持ちや態度が絶対的な存在に向けられた時は、「崇める(あがめる)」という表現が用いられます。「自然を崇める」「祖先を崇める」などと使われ、目に見えない超越的な存在などをありがたいと拝むような態度を表現します。古い表現には「崇めたてる」「崇め奉る」などもあります。「尊敬(そんけい)」とは、その人の人格や業績などを高いものと認め、敬うことを意味します。「敬う」は人以外にも使われますが、「尊敬」は人に対して使われます。「敬愛する(けいあいする)」とは、尊敬と親しみの心を持つという意味です。「敬愛する両親」「敬愛する先輩」などと使われます。「敬う」気持ちに加えて親しみの気持ちを表す時に使われます。「侮る(あなどる)」とは、相手を軽く見たり、ばかにしたりする態度を表す言葉です。手ごわい相手のことを「侮りがたい相手」などと、「ばかにできない」という意味で逆の意味から用いられることも多い表現です。敬意を払ったり、礼を尽くすという意味の「敬う」とは対極にある言葉です。「蔑む(さげすむ)」とは、見下したり軽蔑したりする感情を表現する言葉です。「侮る」とも共通する意味を持ちます。「侮る」と同様に、「敬う」とは対極にある感情です。「敬う」は「上に仰ぎ見る」感情ですが、その対義語として「下に見る」という表現があります。「見下す」と同じ意味です。「敬う」を意味する英語の動詞には「respect」があります。「先祖を敬う」は「respect one’s ancestors」と書きます。「respect」は「敬意、尊敬」を意味する名詞としても使われます。「敬う」の意味で使うときは、「show/have respect for」と表現できます。「You should show/have respect for your elders.」は「年上の人を敬いなさい」という意味です。相手や対象を尊び、高位のものとして礼を尽くす気持ちを「敬う」と表現します。ビジネスにおいては、相手を「敬う」態度は礼儀として大切なものであるといえます。また、「敬う」は「先祖を敬う」「自然を敬う」などのように、目に見えない存在や絶対的な存在を尊ぶ気持ちを表す時にも使われます。このような表現や感性を、忘れないようにしたいものです。©Copyright
「蔑(さげす)む」とは「自分より劣っている相手を見下すこと」を意味する言葉です。同じ「蔑」という漢字を使った「蔑(ないがし)ろ」と「蔑む」の意味の違いを知らない方もいるのではないでしょうか?この記事では「蔑む」を使った例文や類語・対義語も解説します。くわえて、「蔑む」の英語表現も解説しましょう。目次「蔑(さげす)む」とは「相手を自分より劣っているとして見下すこと」を意味する言葉です。「蔑(さげす)む」の他に「蔑(さげし)む」とも読み、漢字では「貶(さげす)む」とも表記します。「貶む」は「貶(さげす)む」の他に「貶(おとし)む」とも読むため、読み間違いに注意しましょう。「蔑む」と同じ漢字を使った「蔑(ないがし)ろ」という言葉。「蔑ろ」は「人やものを無いもののように軽く扱うこと」を意味します。「蔑む」は「相手が自分よりも劣るとして見下すこと」を意味するのに対し、「蔑ろ」は「相手を無いものとして軽く扱うこと」を意味するため、同じ「蔑」を使った漢字でも意味は異なります。・「蔑む」…相手が自分よりも劣るとして見下すこと。・「蔑ろ」…相手を無いものとして軽く扱うこと。「蔑む」は「自分よりも能力・人格が劣っている相手」または、「価値が低いと判断した相手」に対して使用されます。「蔑んだ」や「蔑まれ」のように使いましょう。・彼の蔑んだような目が忘れられない・能力が劣っているからと言って人を蔑んでいいわけがない・周りから蔑まれた視線をおくられているのに気がつかなかった「蔑む」の使い方には「蔑む目」や「蔑む言葉」があります。「蔑む目」は「相手を見下した目」を、「蔑む言葉」は「相手を見下した言葉」をそれぞれ意味します。相手を見下す状況や、相手に見下された状況で使用しましょう。・彼はわたしに蔑む目をむけてくるから嫌いだ・そのように蔑む目で見られると気分が悪い・他人にはもちろんのこと自分へも蔑む言葉を向けるのはよくない・気に入らないからといって蔑む言葉を吐くのは間違っている「蔑む」の類語には「嘲(あざけ)る」や「侮(あなど)る」が当てはまります。「嘲る」は「相手をバカにして笑ったりすること」を、「侮る」は「相手を軽くみて見下すこと」をそれぞれ意味します。・「嘲(あざけ)る」…相手をバカにして笑ったりすること。・「侮(あなど)る」…相手を軽くみて見下すこと。「蔑む」と「嘲る」「侮る」は「相手を見下してバカにする」という点で共通しているため、類語に当てはまるのです。「蔑」を使った熟語が「侮蔑(ぶべつ)」や「軽蔑(けいべつ)」です。「侮蔑」は「相手を軽くみて蔑むこと」を、「軽蔑」は「劣っているとバカにすること」をそれぞれ意味します。他にも「見下すこと」を意味する「蔑視(べっし)」や、「相手や相手の動作を蔑んだ言い方」を意味する「蔑称(べっしょう)」などが熟語に当たりますが、いずれも相手を見下す意味合いを含みます。・「侮蔑(ぶべつ)」…相手を軽くみて蔑むこと。・「軽蔑(けいべつ)」…劣っているとバカにすること。・「蔑視(べっし)」…あなどり見下すこと。・「蔑称(べっしょう)」…相手や相手の動作・状況を蔑む言い方。「蔑む」の対義語には「敬(うやま)う」や「崇(あが)める」が当てはまります。「敬う」は「相手を大切にして礼をつくすこと」を、「崇める」は「相手を尊いものとして敬うこと」をそれぞれ意味します。・「敬う」…相手を優れたもとして大切にし、礼をつくすこと。・「崇める」…相手をこの上なく尊いものとして敬うこと。「蔑む」の英語表現には「Despise」が当てはまります。「Despise」とは「蔑む」「軽蔑する」を意味する単語です。「I despise a liar(わたしは嘘つきを軽蔑する)」のように使いましょう。「蔑む」とは「自分よりも劣っているとして見下すこと」を意味する言葉で、「貶む」とも表記します。自分よりも相手の能力や人格が劣っていると判断する状況で、「蔑む目」「蔑む言葉」のように使います。「蔑む」の類語には「嘲る」「侮る」が当てはまりますが、いずれも良い意味をもつ言葉ではないため使い方に注意しましょう。©Copyright