ウェッブが観測するものは、ある程度は予測可能だ。形成過程にある星、太陽以外の恒星を回る惑星のほか、初期の星や銀河の様子を見ることができるだろう。ただしその様子は、暗闇の中の染みのようにしか見えないとメイザー氏は言う。「心の目で見なければ、あまり美しいものではないでしょう」

 しかし、計画に20年もの歳月と15億ドルを費やしたハッブルが最初に送ってきた画像は、何ともひどいものだった。完ぺきな精度で作られたはずの集光ミラーに不具合があったのだ。

 それに、赤外線を使えば過去にさかのぼることもできる。膨張する宇宙では、何10億光年の距離を伝播するうちに光の波長が伸び、可視光はやがて見える範囲から外れて赤外線になる。その赤外線を捕らえることができるウェッブは、史上最強のタイムマシンになれるのだ。 25年前の4月24日、史上最大で最高のハッブル宇宙望遠鏡は、スペースシャトル・ディスカバリーによって地球低軌道に打ち上げられた。時をさかのぼり、宇宙の秘密を解明することが目的だった。 「これから、あらゆる種類の新発見が待っています。これにより、天文学の世界に再び変化が訪れるでしょう」と述べるのは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のプロジェクトサイエンティストを務める宇宙望遠鏡科学研究所のジェイソン・カリライ氏だ。 ェル宇宙望遠鏡は、1.2.3.4.※参照POPUP KEYWORD© 2014 JAPAN AEROSPACE EXPLORATION AGENCY ALL RIGHTS RESERVED.  アポロ計画で重要な役割を果たしたNASAの長官にちなんで名づけられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、口径6.5mもの鏡を持つ(ハッブルは2.4m)。六角形のベリリウム製セグメント18枚からなる反射鏡は、昆虫の複眼を彷彿させる。目的地までの2カ月の旅の間、すべてのユニットは折りたたまれた状態で運ばれる。それが展開する様子は、ハイテクな宇宙の折り紙とでも言おうか。 そのため、X線や紫外線、赤外線は大気の影響を受けない 宇宙望遠鏡 で観測されます。 参考図版:高瀬文志郎(1994)『星・銀河・宇宙 100億光年ズームアップ』(地人書館)p.26 したがって、中間赤外線の観測には冷却した宇宙望遠鏡による観測が究極的には必要 となる。また、さらに長波長行くの遠赤外線では、大気の吸収に完全にさえぎられる ので、そもそも地上からの観測は不 … 「宇宙は、本当に、本当に大きい。それは、私たちの想像の範囲や、私たちが持つ計器の能力を超えることがしばしばです。でも、私たちはついに追いつこうとしています」とシカゴ大学の宇宙学者マイケル・ターナー氏は言う。 系外惑星が放つ赤外線を直接的に観測し、温度などの環境を推定した。 2020年1月30日、nasaのスピッツァー宇宙望遠鏡が、その役目を終えようとしている。 スピッツァー宇宙望遠鏡は、2003年8月25日に宇宙に打ち上げられた巨大な望遠鏡。

 3年後、次のシャトルが修理に向かった。その後ハッブルは世界クラスの革新的な観測結果を送るようになり、壮大な画像に多くの地球人が魅了された。  ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、宇宙ベースの汎用天文台という意味では、ハッブルの後継にあたる。しかし、多くの関係者は2機を姉妹と考えている。短期間でもいいので2機を同時に運用し、姉妹の目で同じ天体を観測することを望んでいるのだ。 Contents.

 今でも現役のハッブルだが、永遠に宇宙を覗き続けることはできない。もうすぐ、ハッブルよりも大きい巨大望遠鏡が打ち上げられようとしている。

 ただし、計画にリスクがないわけではない。宇宙ステーションなどが太陽と地球に対してずっと同じ位置関係を保てる場所は5つあるが、ウェッブはその1つであるラグランジュ点L2を目指す。そこは地球から100万マイルも離れているため、不具合が発生してもレスキューできる望みはない。

「赤外線天文衛星「あかり」、小惑星に水を発見 -小惑星の進化過程に赤外線観測で迫る:リュウグウなど始原的小惑星を理解する大きな手がかり-」を掲載しています。 -宇宙航空研究開発機構 jaxa(ジャクサ)は、宇宙航空分野の基礎研究から開発・利用に至るまで一貫して行う機関です。

 ウェッブは絶対50度を下回る温度に保たれるため、ハッブルとは異なる光の観測が可能になる。ハッブルは紫外線と可視光の観測に長けているが、ウェッブは赤外線を観測する。赤外線は可視光よりも波長が長く、宇宙を見るより大きな窓となってくれる。

「天文学者にとって、最もエキサイティングな時代がやってきます。私たちが解明したいのは、非常に多様かつ基本的な問題です。地球外生命は存在するのか? 宇宙は何からできているのか? 宇宙の膨張はなぜ加速しているのか? その運命はどうなるのか?」

ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡を構成する六角形セグメント。主鏡は合計18枚のベリリウム製セグメントから成り、赤外線を反射しやすいように24金でコーティングされる。(photograph by …  ゴダード宇宙飛行センターでウェッブのシニアプロジェクトサイエンティストを務めるジョン・メイザー氏によると、塵微粒子のせいで私たちの目には見えない生まれたての星や惑星も、ウェッブの目から逃れることはできないという。「ウェッブを使えば、不透明な雲の向こうにある、形成過程にある星の姿を見られます」 1 可視光以外の赤外線やX線などを観測する望遠鏡は、宇宙に打ち上げられる; 2 宇宙から放出されるほとんどの電磁波は、地上まで届かない; 3 電磁波は波長が短いほどエネルギーが高い; 4 同じ天体でも、どの波長の電磁波で見るかによって、どんなエネルギーの現象を見るかが変わってくる  カーシュナー氏らは、ウェッブがハッブルほど人々を魅了するかどうかについては疑念を抱いている。結局、宇宙の果てに何が隠されているかは誰にもわからない。そこは物質とエネルギーが私たちの想像を超える形で存在する場所なのだ。 ハッブル宇宙望遠鏡は、25年間にわたって宇宙の画像を送り続け、人々を魅了してきました。そのなかから、専門家が厳選した画像など本誌未掲載もあわせた50の傑作画像を順次紹介していきます!  2018年に打ち上げが予定されているウェッブは、その赤外線カメラにより、宇宙誕生からわずか2億年後の光を集めることができる。宇宙誕生2億年といえば、初期の恒星や銀河が形つくられつつあった時代だ。また、太陽を含む恒星を回る惑星の調査も行う。これらのすべてを、地球から100万マイルの高見から行うのがハッブルとは異なるところだ。  ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのロバート・カーシュナー氏は「(ウェッブは)未知を探求するためのツールです」と述べている。  しかし、驚きに満ちた発見もたくさんあるはずだ。「私たちの想像力は、観測結果を超えるほど強力ではありません。行って、見てみなければ」とカーシュナー氏。 文=Nadia Drake/訳=堀込泰三無料の会員登録でQ:エベレストの初登頂に挑戦した英国の登山家ジョージ・マロリーは、成功したらあるものを頂上に置いてくると宣言していました。それは何でしょう?会員向け記事をお読みいただけます。表示切替 :

このハーシェル宇宙望遠鏡の観測により、赤外線領域での宇宙観測が一段と発展することが期待されています。この宇宙望遠鏡は2009年5月14日、宇宙マイクロ波背景放射観測衛星 プランク と共に、 アリアン5 ロケット により打ち上げられました。