Powered by 引用をストックしました引用するにはまずログインしてください引用をストックできませんでした。再度お試しください限定公開記事のため引用できません。 「もっと将棋をわかりやすく」を信条に、ブログを鋭意執筆しております。次の記事 あらきっぺ元奨励会三段。 平成16年:森信雄門下で奨励会に6級入会。 平成28年:三段で退会。 「もっと将棋をわかりやすく」を信条に、ブログを鋭意執筆しております。© 2020 あらきっぺの将棋ブログ All rights reserved.
SHAREどうも、あらきっぺです。この頃は自炊をする機会が増えました。あまりレパートリーが多くないのが悩みのタネですが……笑 タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋を見ていきましょう。なお、前回の内容はこちらからどうぞ。   ・調査対象は先月のプロの公式戦(男性棋戦のみ)。棋譜は携帯中継や名人戦棋譜速報など、公に公開されているものから収集。全ての公式戦の棋譜を見ているわけではありません。ご了承ください。 ・文中に登場する棋士の肩書は、全て対局当時のものです。 ・戦法や局面に対する評価や判断は、あらきっぺの独断と偏見が多分に混じっております。当記事の内容を参考にして頂けるのは執筆者としては光栄ですが、あまり妄信し過ぎないことを推奨致します。  調査対象局は64局。2月よりも12局増加しました。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。 8局出現。2月は1局のみ出現という衝撃の数字でしたが、3月ではそれなりの数字に戻りました。居飛車は超速系統の作戦が主流で、それにどう対抗するのかが先手中飛車のテーマです。基本的には▲6六銀型に構える将棋が多いのですが、 この局面は2019年10月頃には活発に指されていたのですが、そこを境に対局数が徐々に少なくなり、理由としては、この将棋はこれらの要因が振り飛車にとって面白くないので、先手は避けるようになったと考えられます。 そこで、現環境は 2020.3.26 第46期棋王戦予選 ▲黒沢怜生五段VS△佐々木勇気七段戦から抜粋。例えば、このように早い段階で5筋の歩を交換する手法は一案と言えます。 この事例のように、  22局出現。出現率は34%を超え、人気はうなぎ登りです。2月に続いて環境のトップに立ちました。四間飛車が多く指されている理由は、主に二つあると考えています。 後者の理由は、別項について述べます。ということで、ここでは前者の理由を深掘りしていきましょう。 まず大前提として、 このように、8八にいた角をいきなり5五へ上がるのが居飛車の有力策です。これは相手の応手によって急戦と持久戦を切り替える含みがあり、とても優秀な作戦ですね。 そして、 2020.3.23 第61期王位戦挑戦者決定リーグ紅組 ▲豊島将之竜王・名人VS△鈴木大介九段戦から抜粋。例えば、これはその顕著な例と言えます。四間飛車は[△4四銀型+銀冠]というオーソドックスな布陣で対抗していますが、 このように、四間飛車は既存の駒組みを淡々と行っていると、苦戦を強いられてしまいがちなところがあります。 2020.3.14 第78期順位戦C級1組10回戦 ▲先崎学九段VS△村田顕弘六段戦から抜粋。この頃のトレンドは、第3図のようにこの二点に沿った駒組みを行うケースが増加傾向にあります。(2)については、先述した さて。後手の構えは、従来なら振り飛車穴熊を志向する布陣という認識でした。ここから先手は▲6六歩と突いて穴熊を目指すのが自然ですね。それに対して振り飛車は、△6四歩→△7四歩→△7三桂という手順から この形に組めば振り飛車が作戦勝ち! とは言い切れませんが、従来の駒組みである高美濃囲いを作る指し方と比較すると、なお、具体的にどのような部分がお得なのかは、こちらの記事からご確認くださいませ。  さて。実戦は▲8六歩△6四歩▲7八銀と指しました。これは角道を止めずに戦いたいという意思表示ですね。▲6七歩型のまま銀冠穴熊が作れれば理想的です。後手はどのような囲いを選ぶのか好みが分かれるところですが、実を言うと 先手は▲6六歩を突かないまま駒組みを行うことが趣旨なので▲5五歩△6三銀▲5六銀と応じましたが、△8一玉▲3六歩△7二金でミレニアムを作ります。(第5図) なお、代えて△8二銀→△7一金という組み方もありますが、この場合は居飛車が▲3六歩を突いているので、囲いを簡略に済ますほうが賢明ですね。 ここから先手は▲3五歩△同歩▲3八飛と動く手もあるのですが、それには  7局出現。出現率は25%→11.1%と暴落し、明らかに陰りが見え始めています。もはや主力戦法とは言い難い状況ですね。三間飛車は石田流へ組み替える手法が高い支持を得ていたので人気を博していたのですが、 ▲6六銀型は3筋の守りが頼りなさそうに見えますし、7七の角も使いにくそうです。 そして、三間飛車にはもう一つ強敵が出てきたのです。それは、 2020.3.3放映 第28期銀河戦本戦トーナメントCブロック6回戦 ▲藤井聡太七段VS△出口若武四段戦から抜粋。▲4七銀型は3筋の防御がしっかりしているので、振り飛車に歩を交換されないことが利点の一つですね。反面、[▲6八角+▲4六銀]という攻めの形は作れないので、3四の飛を攻めにくいことがデメリットになります。 そういう背景があるので、振り飛車としては▲4七銀型ならば与し易しという印象を持っていたのではないでしょうか。石田流が安定しやすいので、▲4六銀型と比べてみると圧迫感がありません。 ところが、ここから先手は思いもしない方法で後手にプレッシャーを与えていくのです。実戦は、 金を5七へ配置したのが大胆な着想です。この指し方は今までに見られない構想で、三間飛車にとっては新たな敵が出現したと言えるでしょう。  7局出現。2月からはガクンと対局数が下がっており、少数派の作戦となっています。ただ、この7局と言う数字を正面から受け止めるのは浅はかです。実を言うと駆け引きの結果、角交換振り飛車にならなかった将棋も多く、 12局出現。出現率を2月と比較すると、13%→17.5%で上昇しています。12局のうち、先後の比率はイーブンでしたが、角道を止めるか否かという選択においては、はっきりとした差が出ています。角道を止めないということは、 2020.3.14 第78期順位戦C級1組10回戦 ▲片上大輔七段VS△佐藤秀司七段戦から抜粋。この将棋は、先手が角道を開けたまま駒組みを進めていますね。もちろん、どこかで▲6六歩と止めても一局ですが、そうすると後手に穴熊や左美濃に組まれやすくなる嫌いがあります。角道を開けた向飛車は昔から指されているので、これそのものに目新しさはないのですが、以下の局面は注目すべきポイントだと感じました。(第9図) 先手が▲4七金と指したところ。ご覧の通り、後手はもう左美濃や穴熊に組めない格好なので、先手は堅さ負けする恐れがありません。なので、▲6六歩と止める手も大いに考えられたところでした。つまり、 こういった趣旨に基づく作戦は、他の戦型でも見受けられます。(第10図) 2020.3.24 第33期竜王戦3組ランキング戦 ▲杉本昌隆八段VS△菅井竜也八段戦から抜粋。後手は三間飛車に構えていますが、このタイミングで△3二飛と指していることから、普通の三間飛車を志向していないことは明らかですね。 問題はここから▲2二角成△同飛▲6五角で咎めに来られたときですね。後手はこれで悪ければお話にならないところですが、 これらの事例から見られるように、ただ、こういった指し方に頼らざるを得ない辺りに、現環境における振り飛車の苦労が見え隠れしているようにも感じるのです。 そもそも、振り飛車のメリットの一つは、 しかしながら、今回に紹介した指し方は、複数の作戦を同時並行するようなところがあり、「自力で戦法を選んでいる」わけではありません。 何か有力な作戦が出現すれば、(この頃の四間飛車のように、そしてかつてのゴキゲン中飛車のように)必然的にそれが集中的に指されるのは至極当然です。  8局出現。全般的には三間飛車が多数派であり、この傾向はずっと変わりませんね。さて。今回は少し視点を変えて、「囲い」にスポットを当てて話を進めたいと思います。基本的に相振り飛車の囲いは、「美濃」「金無双」「穴熊」「矢倉」のどれかを選ぶのがスタンダードな考え方です。 2020.3.19放映 第28期銀河戦本戦トーナメントHブロック6回戦 ▲山本博志四段VS△宮本広志五段戦から抜粋。先手は矢倉の骨格ができていますが、△4四銀→△3五銀→△3六歩という攻め筋を見せられていますね。 要するに、囲いを盛り上げていると、その間に後手に先攻されてしまうのです。けれども、このままでは囲いが中途半端という感もありますね。そこで、山本四段はこのような組み方を選びました。(第12図) 中原囲いに囲ったのが面白い着想です。なかなか相振り飛車ではお目にかかれない指し方ですが、 中原囲いに組むと6八の銀が攻めに使いにくくはなるのですが、先手は[飛・角・桂・香]の4枚で攻める組み立てなので、あまり気になりません。これは軽快に攻める棋風のプレイヤーには、魅力的な作戦に映るのではないでしょうか。横歩取りの感覚とミックスさせたことに目新しさがありますね。  この記事の内容をもっと深く知りたい! という方は、こちらをご覧ください。    多くの振り飛車が下火の傾向にあるなか、  角交換振り飛車は採用数が少なくなっていますが、相手から角を取ってきてもらうパターンの作戦については、一定の支持を得ているようにも感じます。ただ、  四間飛車が大流行しているので、それに対する策は必須と言えるでしょう。また、「その他の振り飛車」が増加しつつあることから、現状ではあまり陽の目を見ていない作戦にこそ、警戒する必要があるのかもしれません。 それでは、また。ご愛読、ありがとうございました!この記事が気に入ったらフォローしようCATEGORY :最新戦法の事情(2019年2月・振り飛車編)プロの公式戦から分析する、最新戦法の事情(3.4月・振り飛車編)最新戦法の事情 振り飛車編(2020年5・6月合併号)プロの公式戦から分析する、最新戦法の事情(7月・振り飛車編)プロの公式戦から分析する最新戦法の事情(10月・振り飛車編)プロの公式戦から分析する、最新戦法の事情(8月・振り飛車編)元奨励会三段。

居飛穴に手を焼いている四間飛車党の方はもちろん、居飛車党で四間飛車に穴熊で対抗している方も大変参考になる一冊だと思います。 今日は藤井システムのほうしか紹介できませんでしたが、後半は四間飛車穴熊の最新形が紹介されており、こちらも見逃せない内容になっています。 平成28年:三段で退会。 【四間飛車vs袖飛車穴熊】居飛車の最新戦法を受け潰してみる! 【10分】 - Duration: 24:54. ソフト研究によって注目を集めるようになった「銀冠その他の有力な銀冠これは理想形で、ここまで組めれば相当勝ちやすいでしょう。銀冠の、端攻めや上からの攻めに対する耐性とその分手数はかかるので相手に攻められないようにしなければいけませんが、場合によってはビッグ4まで組めることもあります。銀冠その大きな特徴を一つ紹介します。銀冠この局面で△4五歩としてきたら、▲3三角成△同桂▲2四歩で先手成功です。しかし、角道を開けたままにしておくと生じる問題がこれです。先手は早く▲8八玉と玉を入城させたいのですが、▲7七角と普通に角を上げてしまうと△6五桂が角銀両取りとなってしまいます。これで急に不利になったかと言えばそうではありませんが、できるだけこのような展開は避けたいところです(敢えてこの手順を選ぶ研究もあります)。かといって▲6六歩と角道を閉じてしまうのは先手からの角のラインが無くなり、後手から攻められやすくなってしまいます。この局面での銀冠一見訳の分からない角ですが、銀冠△6五歩と素直に角を追ってきた場合は▲7七角と引いておきます。そうなれば桂馬を跳ねるスペースがなくなって両取りを気にする必要がなくなります。後手に位を取られる+手損をする、というデメリットはありますがそれ以上に角道を開けたままにできるというメリットの方が大きいということでしょう。以上の特徴から、銀冠 普通の持久戦なら▲7八玉から舟囲いを作りますが、銀冠先程も紹介した▲6六角がここで登場します。先手は理想形の銀冠後手の△6五歩は桂馬や銀が進出できない分穏やかな戦いになり、結果として先手の理想形である銀冠▲6六角に対して△6五桂と仕掛けてしまう指し方がありますが、こちらもこれには▲6八銀と引いておいて、後手から継続の攻めがありません。機を見て角を引き、歩で桂馬を取りに行ければ優勢です。後手のこれらの指し方が失敗する理由は、先手からの角交換に弱いことが原因です。銀冠3二銀型は、▲3三角成に△同銀で2筋をカバーできるため角交換に強い形です。その反面銀の進出は遅れるのが欠点です。後手からはこのような感じで自ら角交換を挑むことができます。以下▲3三角成△同銀▲9九玉で銀冠基本的には先手から打開していきます。現状、銀冠